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2023.01.19
隣の家から越境した枝は勝手に切ると損害賠償を請求されるかも
隣地のけやきの木の枝が自分の家の敷地内に伸びてきて、屋根の上を覆うようになってきた。枯葉も落ちて樋を塞ぐなど、迷惑である。隣地は空き家で所有者はわかっているが、遠くに居住しているため直接いえない。敷地の境界線内の支障となっている枝は所 有者の了解を得ないで切ってよいものか。
また、最近はけやきの根も家の敷地内に伸びてきて、土が盛り上がっているよう にも見える。建物の基礎に影響があるのではないかと心配している。これも枝と同様に 了解を得ずに切ってしまってよいものか。
こんなケースありますよね。
民法では、越境した枝と根では扱いが異なります。まず、枝については民法第 223 条 第 1 項で「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切 除させることができる。」とされ、根については、同条第 2 項によると、「隣地の竹木 の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。」とされています。
実際に枝が伸びてきていることにより支障があるとすれば、まず相手方に切るよう請求する必要があります。なお、支障がない場合は請求自体が権利の濫用となる恐れもあります。
場合によっては、枝を切ることによってその木が枯れてしまうなど、相手方に損害を与えたり、無断で切り取ってしまった場合は、その行為が不法 内容 行為となって、逆に損害賠償を請求されることもあります。
枝を切ることの正当性が主張できなければなりません。実際に支障がある場合で、相手が請求に応じない場合は、 民法第 414 条第 2 項の規定により、相手の所有者の費用をもって第 3 者に切り取らせることを裁判所に請求することができます。
木の根の場合は相手に請求せずとも切り取ることができるとされています。ただし、これも実害がある場合やその恐れがある場合であり、権利の濫用とならないためにも、実際に根を切り取る場合には、隣地所有者へ了解を得て切り取ることが得策です。
近隣とのトラブルは気をつけたいですね。